●3つ目の対策とは?

実は私、この課題への対策は2つしかないと思っていました。
1つ目は、ベースは日本料理ながらも調味料、食材、スパイスなどでムスリムの舌に合わせるフュージョン的な料理です。
2つ目は、色々な調味料を店に置いておき、ムスリムが自分で最終的な調味を行なう方法です(タイ料理が常にナンプラー、ざらめ、チリパウダー、酢の4種をテーブルに置いているのと同じ)。ただしこれはカジュアルな雰囲気の店でないとできない方法かと思います。

しかし、今日は3つ目の対策をモニターさんに教えていただきました。それは別の角度からの解決策で、日本料理そのままの味で提供しても美味しく食べてもらうための料理以外の部分の工夫です。
今日のモニターの皆さんも「通常、インドネシア人は食材そのものの味よりも調味料の味を味わっている」と言いました。よく言われることです。食産業の業界には「外国人には日本の出汁の味やうま味、繊細な味つけはわからない」と言い切る人もたくさんいます。
しかし、その味を食べる前から頭に意識させることで、味覚を少しでも鋭くすることはできるかもしれません。

たとえば食べる前に「素材の味を楽しんでいただくのが日本料理、なぜなら日本では旬の物、地物を自然の恵みに感謝しながら食べてきた習慣があるのです。今から配られる料理は薄味にしているので、ぜひ素材の味を楽しんでください」と説明するのです。
そして、一つ一つの料理についての文化的な背景を説明したカードを渡す(動画でも良いでしょう)、なぜその素材を選んだのか、なぜ醤油ではなく味噌で味をつけたのか。まさに今日の試食会を開催した店の社長が、料理が出るたびに参加者に丁寧にしてくださった説明をビジュアル化するのです。美しいビジュアルでデザインされた紙で料理と共に配布されることで、食材と文化的背景への知的好奇心をくすぐり、日本に来たからこその体験として楽しめそうです。

このレベルまでいけると、外国ではなく、日本で食べる事自体が価値になるはずです。そして日本の精進料理を楽しめた体験は、知人やSNS上で拡散していくことでしょう。ほかのモニターの方からの「40代以上の人には受けやすいかもしれない」との指摘も関連し、、味の違いを受け止めてくれやすいのは成熟した世代の方が多いことでしょう。「インドネシア人の中でもグルメの方にはこのままでも良い」という指摘も心強く聞けました。
このアイデア、イメージは伝わりましたでしょうか?
それほどコストはかからないと思いますが、写真の用意とコピーライターが重要かもしれませんね。
ご興味がある方はお気軽にムスリムおもてなしセンター(株)中川までお問合せください。
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