
今日、2018年2月16日午後1時から、某自治体のムスリム受入れセミナー・相談員派遣事業の一環にて、歴史ある精進料理店のハラール対応メニューの試食会に参加させていただきました。
弊社で呼び集めたムスリムのモニターさん3名にも来ていただき、私自身(中川)も「専門相談員」の立場で参加しました。
今回、主催の店は、できるだけ日本の精進料理の味に近づけつつ、醤油、味噌、みりんなどをハラール認証された調味料に切り替えて作ったそうです。

社長の冒頭のご挨拶「日本人の皆様からはハラールの調味料を使ったことで普段の料理と違和感がないかを教えてください。ムスリムの皆様からは日本の料理自体を美味しいと感じるかをお聞かせください」とのご発言、さすが数年にわたしハラール対応を試行錯誤された料理人だと感服いたしました。どちらも両立できていれば、日本料理の良さを損なわずに、外国人であるムスリムにも楽しんでもらえるわけです。
素材を活かした精進料理の美味しさと、その美味しさを外国人、とりわけ今日のように東南アジアの方々にどのように伝えていくか、難しい課題ですが、今日はついに大きなヒントをいただいたのではないかと思います。やはりモニターの皆さんから真剣に考えていただいたご意見は参考になります。お呼びして良かった!!と思いました。

<モニターの主な意見>
・美味しいと思うが、一般論ではインドネシア人には素材そのものの味はわかりにくい。
・通常、インドネシア人は食材そのものの味よりも調味料の味を味わっている。
・すべて薄味ではなく、強い味も入れてみてはどうか。
・菜の花など日本独自の食材には慣れていないので、前菜に出てあまり量が多いと食べられない。
・40代以上の人には文化も合わせて説明するとわかってもらいやすいかもしれない。
・インドネシア人の中でもグルメの方にはこのままでも良い。
・もっとこのような美味しい料理が広まってほしい。俳優やタレントなどのインフルエンサーに来てもらい、インスタグラムを撮ってもらうと良い。

日本の料理をどこまで外国人のお客様の舌に合わせるかという問題は、少なくとも私がこの仕事を始めた4年以上前から耳にする課題です(もちろん、食材食品の輸出では、古くから同様の苦労をされた会社がたくさんおられることでしょう)。
初めてこの課題を知ったのは、インドネシア人観光客をお客様とするガイドさんから聞いた驚くべき話からでした。それは、ハラール対応しているから安心だと思い、旅行客を精進料理に連れて行ったところ、食べているものの『味がしない』と言って自国から持ってきたサンバル(インドネシアなどの辛い調味料)をどんどんかけていて、料理人がとても残念そうな顔をしていたと言う話でした。

それ以降私は、ムスリムに日本の料理をどう食べていただくか議論をするたびに、日本の本物の味を食べてもらいたいと考える日本の料理人と、本場と言われても美味しく感じないものは食べたくないと考えるムスリム旅行者の両方を満足させる方法はないだろうか、とずっと考えているのです。
実は私、この課題への対策は2つしかないと思っていました。
その新しい対策が見つかったのではないかとワクワクしています。