マレーシア旅行展示会で考える、日本が今後すべき事(2/2)

台湾はムスリムタレントを起用

今回のMATTA Fairで最も印象的だった事の一つが、台湾が起用したマレーシアの女性タレントでした。あとで調べてみたらインスタグラムのフォロワー数が330万人。マレーシア人口の10%にあたります。台湾のムスリム向けパンフレットの表紙を飾っているほか、彼女の等身大程度の看板が台湾ブースと、台湾旅行を取り扱う旅行会社のブースにいくつも置いてありました。
おそらくYoutubeやインスタなどでもミックスしているでしょうから、効果が出るのではないでしょうか。

 

一方で台湾は同じ中国語で中華系マレーシア人にも訴える事もできるので、セグメンテーションとターゲティング、その後の実施もやりやすいと推測します。

そろそろ積極的なプロモーションを

横浜ムスリム向けパンフ含め、神奈川の資料は担当が異なるため、AppleTravel社のブースに。
横浜ムスリム向けパンフ含め、神奈川の資料は担当が異なるため、AppleTravel社のブースに。
もちろん、いつも外国が良くて日本が悪いと自虐的に言っているわけではありません。
日本のムスリムへのおもてなしの全国への広がりと県単位でのパンフレットの充実は素晴らしいと思います。
ただ、そろそろ各行政単位のパンフレットを置く「待ち」のプロモーションの次の段階に進み、旅行商品づくりと旅行者に届きやすい積極的なプロモーションの時期ではないかと思っています。

 

昨年岡山が現地旅行代理店と連携して旅行商品をつくり、プロモーションにも積極的に取り組みましたが、今年は展示がありませんでした(あまり売れなかったとも聞いています)。ただ、ゴールデンルートでもない場所が何回かのプロモーションでいきなり人気観光地になれるとは限りません。地道な努力でターゲット層の認知度を向上させ、魅力を伝えないと競合する他国/地域が選ばれてしまうのは当然だと思われます。

メインスポンサーをねらう

MATTA Fairへのプロモーションであれば、JNTOもスポンサーの一つにはなっていますが、メインスポンサーは昨年に続き台湾です。フェア受付で参加者が渡される資料を入れるエコバッグには台湾のキャッチフレーズが入っています。
そして会場内にはあちこちにマレーシア女性タレントの台湾をPRする等身大看板。
日本もこの戦略を追いかけて良いと思います。

公式ガイドへの広告

会場マップ付きの公式ガイドには広告面が面ありましたが、日本で紙面を取ったのは唯一、東京都です(JTBが1面取りましたがマレーシア法人)。見開きで紙面を取り、浮世絵の女性と初音ミクを対比させて"Old meets New"とコピーされたイメージ広告は、旅行商品が価格付きでバンバン載っている他のぺージのなかで異彩を放っており、連動したARのムービーも面白かったです。

 

狙いを絞った戦略はわかりましたが、欲を言えばイメージ広告が良かったのか、出したイメージはマレーシア人の中華系、マレー系それぞれに刺さる内容だったのか少々わかりませんでした。評価が実施されているなら知りたいです。某日系大手旅行代理店のトップからお聞きしたのですが、マレーシア人ムスリムの間では日本の食環境に依然として不満が解消されていないとのこと、彼らを安心させる発信をするのも良かったと思います。

まとめ

日本が台湾や韓国など競合国の中から、マレーシア・インドネシアのムスリムに旅行先に選んでもらうための提案(勝手ながら)

1.日本全体としては、メインスポンサーの位置を勝ち取り、日本への旅行を扱う各旅行代理店が使いたいと思える共通のアイコンを配布する所まで踏み込む。

2.JNTOブースでは、共通スペースを設け、体験コーナーやテーマごとに絞り込んだ日本の魅力を来場者に印象付ける展示をする。

3.中華系とマレー系にセグメントし、ターゲットごとへのメッセージを明確に決める。

4.ターゲットへの訴求内容を各自治体や企業の小ブースで具体的に伝えられるよう連動させる。

5.公式ガイドブックに積極的に広告を出す。ムスリムが安心する内容やメッセージを。

 

弊社にとって自治体のプロモーションは規模も大きいため、単独でお受けする仕事ではありません。インフルエンサーマーケティングの実績豊富な現地の会社などのパートナーと共に支援を行ないます。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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KLIA2に隣接したモールの巨大看板。同じスマホのPRです。後ろは有名なムスリムのタレント(手前の方は存じません・・・)
KLIA2に隣接したモールの巨大看板。同じスマホのPRです。後ろは有名なムスリムのタレント(手前の方は存じません・・・)