断食明けの食事(イフタール)会への参加

5月31日(金)日本ムスリム協会でのイフタールはアラブ系の食事(牛すね肉とオクラのシチューなど)
5月31日(金)日本ムスリム協会でのイフタールはアラブ系の食事(牛すね肉とオクラのシチューなど)
ブログ更新が久しぶりになりました。
今年度、おかげさまで自治体からの年間事業を3事業お手伝いすることになりましたので、事業自体のご報告も近々してまいりたいと思います。
今回は仕事と代表中川個人の活動の半々のご報告です。
現在、イスラーム暦では最も聖なる月とされるラマダーン(断食月)です。
イスラームの暦(こよみ)は西暦とは異なります。イスラームの諸国では政治・経済は西暦にしたがう部分もあるものの、ムスリムの宗教的な催事はイスラーム暦にしたがいます。ラマダーンとは9番目の月の名前で(日本で古来より使用した9番目の月の名前は長月ですね)、1年が12か月に分かれてはいますが、年間日数が西暦と比較して11日短いため、その分西暦で見ていると毎年11日早くラマダーンが始まることになります。日本では5月5日からラマダーンに入り、おそらく6月3日か4日に終了すると思われます(開始終了は月を見て判断します)。

「人間の欲望を抑える」月

5月21日(火)大塚マスジドでのイフタール(サラダ、カレー、ピラフなど)
5月21日(火)大塚マスジドでのイフタール(サラダ、カレー、ピラフなど)
ラマダーンの間は人間の基本的な欲望である食欲、性欲を抑えることが求められ、実践した者には神からの報奨が与えられるとされています。
また、水や食べ物のありがたさ、食べ物となる動物のありがたさ、貧しく食事を満足に取れない人々への共感も重要とされています。
日本ではよくメディアで「厳しい戒律にのっとって」との枕詞で表現されるイスラームですが、実際は強制されるものではないので、子ども、病人、妊婦、旅行者など断食が健康に影響を及ぼす人は自身ができる範囲で実践したり、できない日数を終了後の別の日に振替えて実施したりするそうです。
私が住んでいたアフリカ・ブルキナファソでも断食中に具合が悪くなった人に皆が水を飲め、何か食べろと食事を勧めていたことを思い出します。
さて、食欲を抑える断食は日の出の前から日没後までと定められています。
日没後は預言者(神の言葉を人間に伝えた方々)ムハンマド様の習慣にのっとり、デーツ(ナツメヤシ)の実を食べ、ゆっくりと水を飲んでから(これが空腹の胃に負担をかけずに最も良いそうです)、一緒に食事をするのが習慣になっています。

 

この断食明けの食事をイフタールと呼びます。英語で断食をfastと言いますが、寝ている間のfast(断食)をBreakするので朝食をBreakfastと呼ぶのはキリスト教にも断食の習慣があったからだとか(東京ジャーミイ下山さんのお話による)。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が同じ唯一の神を信じて共通項もたくさんありますが、これもその一つなのでしょう。

コミュニティにとっても大事な場

5月28日(火)東京ジャーミイでのイフタール(トルコ料理)きゅうりとヨーグルトの冷製スープ、ピラウのピーマン詰めなど
5月28日(火)東京ジャーミイでのイフタール(トルコ料理)きゅうりとヨーグルトの冷製スープ、ピラウのピーマン詰めなど
イフタールでは元々知り合い同士で待ち合わせしていたり、久しぶりに会う友人どうしがいたりして、コミュニティにとって大事な交流の場なのだとよくわかります。私も東京ジャーミイにお客様を研修でお連れしたのですが、そこでメーカー時代のエジプト人の同僚や今の仕事で実施した試食会の参加者のマレーシア人の方に会ったり、隣にいた某国大使館員と話をしたりして、大変楽しく過ごしています。
ラマダーンは6月4日で終了になると思いますが、東京ジャーミイではウェブサイトから事前予約をすれば、ムスリムでない人も参加できますのでぜひ行ってみてください。大塚マスジドや日本ムスリム協会(金土日のみ)は予約不要ですが、人数が多い場合は事前に連絡するのが良いでしょう。
参考文献 『断食ガイド』2008, イスラーム文化センター