<2>おもてなし取組みステップ

ハラール認証はなくても問題なし

 現在、弊社が飲食店や宿泊施設にお勧めする対応方法は、

point
  1. 自店が可能な範囲での①原材料や調味料の選択、②調理する環境づくりをする
  2. 上記1.の状況を正確に伝え、納得してくれたお客様に入店していただく

です。

 

 ムスリムが完全に安心する状態を目指してハラール認証を取得する戦略も選択肢の一つとして残ってはいますが、必須ではありません。ムスリム以外にも飲食を提供する店舗では、「ハラール」の実現に執着するあまりムスリム以外のお客様が入りにくくなる可能性も考慮する方が良いです。

 

 余談ですが、地方公共団体はパンフレットなどで事業者の取組みの発信を支援するものの、ハラール認証に補助金をつけたり認証団体を紹介斡旋したりすることは避ける傾向にあります。特定の宗教を支援・推奨することが「政教分離の原則」に反すると考えるためです(東京都台東区や徳島県など支援する自治体は少数ながらあります)。

本当に必要なのは実務へのサポート

 情報や参考事例は、実は無料で手に入ります。

 ムスリム観光客への対応についての講演は自治体や商工会議所の主催で時々ありますし、同じく対応方法のマニュアルやガイドラインは、すでに北海道、宮城県、東京都、千葉市、昇龍道地域(愛知・岐阜・石川などの中部北陸エリア9県)、大阪府、岡山市、沖縄県などの各自治体だけでなく、日本政府観光局でも2016年に発行しています。

 

▶ 日本政府観光局(JNTO)ムスリムおもてなしガイドブック

http://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000137.html

 

 つまり、ムスリムおもてなしの知識もマニュアルも、無料で手に入るのです。それでも、事業者様と直接お話しした時に聞くのは、

  • ガイドブックをじっくり読む時間がない
  • わからないところがあっても聞く相手がいない
  • 一般論はわかったが、自分の店では状況が違うから自信が持てない
  • 宗教が関係するから、何かあった時のクレームが不安

といったお悩みの声です。

 

 こうしたお悩みをもつ事業者様にとって本当に必要なのは「実務のサポート」です。

 日々の業務が忙しい中で着実に対応を始め、定着させるためには上手な段取りが必要です。

 それぞれの店舗・施設でのサービスを、日々のオペレーションが回り、現場スタッフのマニュアルまで落とし込むために経営者・管理職・現場スタッフと共に検討し、自社に適した形でまとめる作業を支援致します。

 

 近年、各自治体でも「専門家/相談員の派遣」事業が企画され、ムスリムやベジタリアン対応などのサポートをしています(弊社は平成29,30年度に東京都で担当)。無料で派遣される回数には限りがありますが、お近くの自治体でこうした支援があるか、ぜひ確認してみてください。残念ながら自治体での支援がなかったり、事業者様独自のペースで実施したい場合はどうぞ弊社までご相談ください。

 どこまで売上を伸ばせるのか予想しにくいことに予算はかけづらいとは思いますが、簡単にご説明できる内容であれば無料で回答いたしますので、まずはお気軽にご連絡ください。

どんなステップで進めると良い?

 弊社は2017年10月設立ですが、設立者/代表の中川が2014年8月から「自店で可能な範囲のハラール対応をして、対応状況に納得したお客様に入店してもらう」考え方を基本に試行錯誤し、次のような具体的な取組みのステップを考えました。

取組みの5ステップ
  1. 外国人一般へのおもてなしに必要な基本を知る
  2. ムスリムやベジタリアン等の考え方・価値観を知る
  3. 自店の戦略、目標、おもてなし方法を決める
  4. お客様に自店のおもてなし方法をどのように伝えるかを決める
  5. 集客する

 ステップ1と2は、どんな方でも学べばプラスになるトピックです。一般論なので研修や講演を聞いたり、自治体のつくったガイドラインを読んだりするだけでも充分です。ここで重要なのは、お客様はムスリムであると同時に日本に慣れない外国人でもあると再認識することと、ステップ2で学んだ食の制約事項は全てをクリアしなくても良く、できる範囲での対応でお客様をおもてなししても良いと理解することです。

 

 ステップ3~5は各店舗の方針によって異なります

A. 急にムスリムのお客様が来店した時にトラブルなく対応したい店

B. ムスリムのお客様を積極的に集客し、店の売上を伸ばしたい店

 

次ページ「<3>売上アップに必要な取組み」では、AとBの方針の違いに分けて具体的な取組みをご説明します。