<4>集客強化こそが成功のカギ

そもそも、ムスリム訪日客は市場になるのか?

 客観的に見て、2017年2,869万人の訪日外国人観光客の中で、ムスリムは多く見積もってもせいぜい90万人、全体の3%程度です(ご参照:ブログ記事)。「急増!!」とあおる言い回しを見かけますが、実は訪日外国人観光客のなかではごく平均的な伸び率です。最前線でムスリムのお客様に対応している(イメージのある)有名なお店でも、実はムスリムのお客様の割合は全体の1割だったり、利益が思うように伸びずにまだ先行投資段階と考えていたりする割合が多いです。「ムスリム訪日客は多い」「急増!」といった営業的表現を見た時には、その表現に根拠があるのか注意しましょう。

  

 また、ムスリム訪日客のマーケティングはあまり進んでいません。日本政府観光局(JNTO)や訪日客のwi-fiアクセスデータを使った国別のビッグデータはあっても、宗教を軸にしたデータ分析ができないため、仮説が検証しきれておらず推測にすぎません。日本のムスリム向けメディアのウェブサイトに集まるデータも半数以上は在日ムスリムからのアクセスです。もちろんこれらのデータも重要ですが、母集団に偏りが否めないデータだと理解しておくと良いです。

 

 

 現在はお客様の絶対数が少ないので、簡単に利益があがるものではありませんが、それでも人口成長率、経済成長率、文化交流、国同士の関係などから推測するに、インドネシアを中心に今後10年とそれ以降も、一定の人数増が期待できる市場です。

 

 そして、お客様の特徴が比較的はっきりしているので、ムスリムに対応できるお店が少ない地域や、多くのムスリム観光客が訪れる場所では、対象を絞って特徴に合わせた対応を行なえば、一定の売上げを増やすことができると考えています

なぜ集客がうまくできないか

 現在、ムスリム観光客の多くが旅行をしたい場所は「ムスリム向け食事を用意してくれる場所」ではなく、あくまで「観光したい」場所です。食も要素の一つではありますが、もっと優先される要素がたくさんあります。「ムスリム向けに食事を用意すればその地域に観光客を集客できる」との主張がありますが、「ムスリムが食事を優先して観光の旅程を組む」という仮説は成り立ちませんでした。率直に言えば、観光的に魅力ある地域に育たないと、ムスリム観光客も集まってこないということです。

 

 さらに、仮にすでにムスリムの来る観光地だとしても個別の店舗としては集客をする必要はあります。ムスリム観光客の絶対数がまだ少ない現状に加え、ハラールに対してこだわりの強いムスリムのお客様は、自分が食べられる店がどこかを事前に調べて来訪するため、彼らが(特に旅行前に)情報収集に使うメディアで紹介されていることが最も重要です。

 

 現在、全国で起きている一つのジレンマが「研修やコンサルティングを受けてムスリムのゲストにおもてなしできるようになったが、肝心のお客様が来ない」という状況です。2016年に私のサポートしていた某高級ホテルの総支配人が「ムスリムに対応するなら現場スタッフも巻き込むんだけどさ、せっかく対応してもお客さんが来なかったら士気がだんだん下がって、続けるのがどんどん難しくなっちゃうんだよね」と仰っていたのはまさにその通りだと思います。実際、ムスリムのお客様が来ない状態が続くと対応方法を忘れ、やりがいも減り、売上げも伸びない。こうした状況は事業者様のプラスになりません。弊社が、集客こそ強化すべきと考える根拠はこうした現場の声にもとづいています

有効な集客策は?

 現在有効な方法は、SNSを使ったムスリム独自の口コミやムスリム系メディア等を使ったアプローチです。こうした有効な方法を弊社からもご案内できるよう情報取集・ネットワーキングを進めております。

 

 ここで重要なのは、日本のメディアやウェブサイトに広告を出したり情報発信しても、実際に情報収集している人々には届いていないという事実です。JNTOジャカルタ事務所の統計調査(結果は非公開)では、ジャカルタ在住の訪日経験者に、旅行前に何で情報を収集したか尋ねた質問では、日本のウェブサイトでの情報収集を行った人が2%しかいないという数字が出ました(弊社代表中川が当時の所属団体で調査分析を担当しました)。したがって、SNSや世界的なプラットフォームを活用する、現地の人気メディアを使うなど、旅行前のお客様に届く情報発信方法の選択が重要になります。

 なお、この情報発信方法の詳細につきましては、ご支援専用の資料を用意しますのでお問い合わせください

まとめ

「おもてなし」成功のコツ、全てまとめると以下の通りです。

まとめ
  1. ハラール認証は取らなくても問題なし
    できる範囲でおもてなしし、その状況を正確に伝える方法を工夫。
  2. 研修だけでなく、実務の支援者を探す
    無料の情報はたくさんあるが、ビジネスとして進めるなら「実務の支援者」を探す方が良い。
  3. 集客こそが重要
    現場対応しただけではお客様は来ない。SNSなど現地に情報を届ける集客方法が有効。

 2013年から飲食店・宿泊施設・メーカーへのムスリム向けサービス・商品開発支援をしてきた経験・ノウハウを蓄積し、貴社の理念やROIに適した形での「おもてなし方法」「集客」をご提案致します。お気軽にお問い合わせください。